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21世紀の人財像

グレタ・トゥーンベリ、国連気候行動サミットでのスピーチ

全てが間違っています。

本来なら私は海の向こう側で、学校にいるべきなのです。それなのにまだ、あなたたちは私たちの元に来ている。若者に希望を見出そうと。

よく、そんなことができますね。

あなたたちは実体のないことばで、私の夢を、私の子ども時代を奪ったのです。

それでも、私は幸運な者の1人です。人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系全体が崩壊しています。

私たちは、まさに大量絶滅の始まりにさしかかっているのです。

そしてあなたたちが語り合うのは、お金や、途絶えることのない経済成長のおとぎ話だけ。

よく、そんなことができますね。

30年以上前から、科学がもたらす答えはとても明確でした。よく、見ないふりをし続けて、ここで「十分やっている」と言えますね。必要とされる政策や解決策の目処すら立っていないのに。

あなたたちは言います。私たちの声は聞こえている、緊急性を理解していると。しかし、どんなに私が悲しくても、怒っていても、それを信じたくはないのです。

もしあなたたちが本当に事態を把握していながら行動に移さないのであれば、それは邪悪でしかありません。だから、私は信じません。

今後10年で(温室効果ガスの)放出を半分に減らす案がありますが、それでも気温が1.5度下がる可能性は50%しかありません。人間の手中にはおさまらないような、決して後戻りのできない連鎖反応が起きるリスクがあります。

きっとあなたたちにとって、50%という数字は受け入れられるものなのかもしれません。

しかしこの数字には含まれていないことがあります。

「ティッピング・ポイント」(氷床や熱帯雨林の現象など、地球の気候を構成する要素に急激な変化が生じる転換点)や、「フィードバック効果」の連鎖(温暖化によって生じる現象が新たな温暖化を引き起こすこと)、有害大気汚染に隠されたさらなる温暖化、「気候正義」や「気候の公平性」の問題(少数の国・人々がエネルギーを大量消費して温暖化を進める一方で、多くの貧しい国・人々がその被害を被っており、その不公平さを正すべきだという考え)についてなどです。

加えてこの数字は、私たちや私たちの子どもの世代が、何千億トンもの二酸化炭素を空気中から吸収してくれるだろうという予測に頼っています。その技術は存在すらしていません。

こうなると、50%という数字は、私たちにとっては受け入れ難いものになります。その結果と生きていくのは、私たちなのですから。

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が出した最高値を見ても、地球全体の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は67%です。とすると、2018年1月1日に遡っても、世界が放出できる二酸化炭素量はあと420ギガトンです。

今日ではその値があと350ギガトンまで減っています。

それなのによく、この問題が解決できるかのようなふりができますね。変わりばえのないやり方で、技術に頼って。

今の放出レベルでは、8年半以内に二酸化炭素の許容放出量を超えてしまいます。この値に沿った解決策や計画は、未だ提示されていません。

なぜなら、この値はあなたたちにとって不都合すぎるからです。あなたたちが未熟なゆえ、現状をありのままには伝えられないのです。

あなたたちは、私たちを失望させています。しかし、若者たちはその裏切りに気づきつつあります。未来の世代の目は、全てあなたたちに向けられているのです。

それでもなお私たちを裏切る選択をするのであれば、言わせてください。

「私たちは決してあなたたちを許しません」。今、ここで、線を引きます。

世界は目を覚まし始めています。変化も訪れ始めています。たとえあなたたちが気に入ろうと、なかろうと。

藤原和博氏セミナー「親は子供に何を残せるのか」

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