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21世紀の人財像

【村上憲郎氏 特別講演】真のグローバル人財になるために、幼少期から必要不可欠な教育 ―英語『で』学ぶ―

2022年2月13日(日)に行われたSTEAM English Academy オンラインセミナーでは、グローバルビジョンの名誉会長・村上憲郎氏にお越しいただき、真のグローバル人財になるために、幼少期から必要不可欠な教育 -英語『で』学ぶ― というテーマでお話頂きました。

当日の録画映像とともに、インタビュー形式で行われたセミナーの内容を是非ご覧ください。

【片山】
それでは時間となりましたので始めたいと思います。保護者の皆様おはようございます。本日はお忙しいところ、朝早くからSTEAM English Academyのオンラインセミナーにご参加くださいまして、ありがとうございます。

私はSTEAM English Academyの紹介をさせていただきます、グローバルビジョン、スーパーバイザーの片山と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

私達は小学生や、未就学児を対象として、国際教育並びに世界基準の英語プログラムを提供しております。 15年後、20年後お子様が、世界の課題解決に貢献し、さらにグローバルに活躍されることが私達の目指す姿です。

本日は、グローバルビジョンの名誉会長・村上憲郎様より、お話をさせていただきます。そして、こちらのプログラムの紹介を交えてお話をさせていただきます。

まずは村上様の紹介をさせていただきます。
村上様は京都大学を卒業後、現日立システムズに入社され、SEとしてキャリアをスタートされました。DEC Japanでは、人工知能分野の知見を修得され、1986年にはDECアメリカ本社、人工知能センターに5年にわたり勤務をされました。 1991年、DEC Japanに帰任後、取締役のマーケティング本部長に就任されました。

そして2003年、Googleアメリカ本社の副社長と日本法人の社長に就任されました。多国籍の方と様々なプロジェクトをご経験され、大きな成果を多方面にて残されました。
2009年にはGoogle日本法人の名誉会長に就任され、2011年にはGoogle日本法人の名誉会長を退任後、村上憲郎事務所を開設、京都大学で工学博士号を取得し現在は大阪市立大学院都市経営研究科の教授でもいらっしゃいます。
また、国際大学GLOCOMおよび、大阪工業大学の客員教授、会津大学参与にも従事されて、多くの著書も出版されております。日本の国際教育にも大きく貢献されてらっしゃいます。

村上様に本日は自由が丘教室の柴山校長とのインタビュー形式で進めて参ります。
それでは柴山さん、村上さん、どうぞよろしくお願いいたします。

【柴山】
それではここからは私、柴山がインタビューを担当させていただきます。
改めまして、皆さんこんにちは。STEAM English Academy自由が丘校の柴山です。

今回は、元Google米国本社の副社長であり、Google JAPAN初代社長も歴任され、ご自身も父親として海外で子育てもされた村上憲郎さんにお話をお聞きしたいと思います。

世界でご活躍するグローバル人財とは何たるか、そしてお子さんたちがグローバル化する社会で活躍できる人財になるために、どのような子育てをすべきなのか非常に興味ありますよね。

お子様たちが羽ばたく社会とはどんな社会で、そしてその社会でどんな力が必要とされていて、その力を育むためにどんな教育の選択肢があり、我々が親としてどんな教育環境を提供するべきか、などを聞いていきたいと思います。
村上先生よろしくお願いいたします。

では、スライドでご質問の内容を皆さんにお見せしたいと思います。
まず、今回お話を聞いてくださっている保護者の方たちのお子様が将来、社会へ羽ばたくために、グローバル社会でどのような力が必要なのかに関してお伺いしたく思います。

村上さんのご著書である「クオンタム思考」からお話を伺います。正解がどこにもない課題に対して、誰もが向き合わざるを得ないという時代に突入していくということが書かれていますが、これからどんな時代になっていくのか教えていただけますか。

【村上】
もう皆さん、「失われた30年」というのは、耳にタコができるほどお聞きになっていると思います。日本の景気後退は、平成の30年間、そして令和に入ってもなお続いてる残念な状況であります。しかし、かつての日本は、素晴らしい発展を遂げてきたことは否定できない事実です。

明治維新以来150年、どういう形で日本が発展を遂げてきたかというと、欧米先進国が既に発見している解決済みの正解を、ひたすらキャッチアップしてきたんです。75年ほど前に敗戦という形でもう一度ゼロから再スタートした時も、戦勝国であったアメリカが既に解決をしていた正解というものを、手っ取り早く手に入れる。そういうやり方でやってきたのです。

しかし、どうも最近の30年はそうではなく、日本自身が課題先進国というか、正解のない問題に取り組んでいかねばならなくなった。 こういう状況にもかかわらず、残念ながら、日本では人をそのような各課題に挑戦していくという形で育ててこなかったところに、最大の原因があるのではないかということから、「クオンタム思考」という、私の拙書を昨年の5月に出しました。
そのあたりのことを皆さんにご理解いただきたいということで書かせていただいた本でございます。

【柴山】
ありがとうございます。まさに私もこの本を拝読させていただいたのですが、まず題名を見たときに、「クオンタム思考ってなんだろう」というところから始まって、書籍を読み進めるうちに、だんだんと理解ができました。今回、参加いただいた皆さんたちにもクオンタム思考がどのようなもので、なぜ必要かというところを教えていただければと思います。

【村上】
はい。クオンタムというのは、量子という意味の英語なのです。
皆さん電子計算機というのを使ってらっしゃると思うのですが、もうそろそろ量子計算機が、実用の段階を迎えてきているんです。

何が違うかというと、そもそも「電子計算機」というのは、中身の詳しいことはよくわからないけれども、「オンだとかオフだ」とか、つまり「ランプが点灯してるかどうか」、「スイッチが入ってるかどうか」、「0か1か」っていうですね、そういうことを基本にして、計算を行ってるらしいということぐらいは、どこかでお聞きになられたのではないかと思います。

「スイッチが入ってる、入ってない」とか、「ランプが点灯してる、してない」ってのはわかりやすい現象ですよね。目に見える形での現象ですからね。
ところが量子というものが、その振る舞い方、大体その量子って何だっていうことなんですが、電子とかのですね素粒子。陽子、中性子だとか、物理学的に言うと非常に細かい、物質の元になるようなものですね。
そのミクロの動きを観察し、理論的に解き明かしていくと、どうもこの「オンオフ」なんていう単純な振る舞いではなさそうだと、言ってみれば0でもあって、しかも1でもあるというふうな、、、

「そんなこと言われても、何のことか、ようわかりませんわ」っていう、ご感想だと思いますけども。 「ようわかりませんわ」みたいな現象なんですね。それをうまく利用して計算を効率よくやろうというものが、「量子計算機」なのです。

「クオンタム思考」というのは、そのような、黒白はっきりと考えるのではなく、「黒でもあり白でもあり」のような、「オンでもありオフでもある」ような、やや常識外れっていうか、日常感覚を、ちょっと逸脱してるところにも果敢にチャレンジしていくということなんです。

「もう駄目です、わかりません」というふうに拒否するのではなく、柔軟にそのような事態にも勇気を持って対応していくといった思考法のことを、私は「クオンタム思考」と呼んだわけであります。

【柴山】
なるほど。日常感覚や今までの常識を飛び越えたような、比類なき思考みたいなものがクオンタム思考ということでしょうか。
成長する企業や組織ではそのような素質を持った人が求められているということを、村上さんは実際に見てこられたのでしょうか?

【村上】
そうですね。特にGoogleの同僚や、自分の子供の歳のような若い世代の人たちと、仕事をさせていただいた中で、そういった方々の発想方法というのが、今ある常識を突き抜けていくような発想のもとにお仕事をされてらっしゃるなという印象を何度も味あわせていただきました。

【柴山】
そうなんですね。本日ご参加いただいているみなさまにも、お子様がいて、今、どのような大学に入ればよいのか、迷いながら模索していると思います。村上さんは以前、ご講演の方でGoogle社員の選考の話もされていたと思います。世界で活躍する企業に選ばれるには、どのような人材や、どういう能力が必要だと思われますか?

【村上】
日本では、大学の学歴というか、成績の優・良・可というのが今も続いているんでしょうか。成績といったものが全く関係がないということではもちろんありませんが、それ以上に大事なのはやはりリーダーシップですね。

リーダーシップというと何か他人様を束ねるみたいな印象が強いかと思いますが、その前に自分をリードできているかという、つまり自律ですね。自律の律は「立」の方ではなくて、法律の「律」ですね。自分自身を律することができているか、つまり自分をきっちりと、リードできているのかどうかです。

【柴山】
まさに、教育現場に立つ我々も、どのように子供たちに自律してもらえるかというのは非常に重要なテーマだと思って取り組んでいます。その中で親として我々教育者としても、どのような教育環境を子供たちに提供すれば、クオンタム思考や、自律が出来るのか、逆算して今考えることが必要だと思います。

最近のニュース見ますと、海外のボーディングスクールが続々と日本で開校されつつあります。一方、日本の国内の中高一貫校でも東大や京大、さらにその上のハーバードやケンブリッジを目指す学校が増えてきいてるのですが、その理由について村上さんはどう思われますか。

【村上】
それでは、1980年代に私がボストンに赴任しているときに体験したことをお話ししましょう。

ボストンは、マサチューセッツ州にあり、その北側にはニューハンプシャー州というのがあるのですが、その界隈には寄宿学校、つまりボーディングスクールというのが多数ありまして、経済的に余裕のあるご家庭のお子さんたちは、多くの方々が日本の中高一貫に相当する全寮制のボーディングスクールに入学されていました。

一番幼い方は小学校のときから送り込まれてたりして、少しかわいそうにと思うところもなきにしもあらずでしたが、日本からも親元を離れて寄宿学校に入られてる方がいらっしゃいました。 やはり英語「で」勉強するということがやはり大事なんですね。

80年代にボーディングスクールに送り込んでおられた親御さんと子供の教育方法についてお話する機会もありましたが、私も苦労したようにやはり英語で仕事をする会社に勤めていると「今、もし英語がネイティブ並みに出来ていたらなあ」と思うことがどうしても共通認識としてあったと思います。

自分の子供にはこの苦労はさせたくないっていう思いもあって、既に1980年代ぐらいからポツポツと日本の子供たちがアメリカでボーディングスクールに入学し、その後、アメリカのカレッジ、ユニバーシティに進学していくということが始まっていたわけです。

いよいよここへきて日本でそのニーズがかなり広がってきてるということを、国際的な教育機関が察知をしてですね、続々と日本へ進出してきているというところかと思います。英国を中心としたボーディングスクールが、日本の中でも、次々と設立されているということはもう既にご存知の親御さんもいらっしゃるかと思います。

「小学校から寄宿学校」、これはジャパンタイムスの社主の方が広島県の山奥に開設されたケースなのですが、、、小学校から海外の寄宿学校に入学するということになると、ちょっと熱を出して、様子を見に行こうかと言っても、到着したときには治っていましたというような、笑い話みたいなこともあるかもしれない。

しかし、国内で小学校から英語で寄宿学校にいれたいというニーズが十分あるんだということを察知されて、日本の教育機関としても、ジャパンタイムスの社主が開設されたいという、このような事例が続々と起こりつつある。

【柴山】
そうなるとですね、保護者の方々としては、子供たちの選択肢が広がったのはよいことなのですが、どういう選択をすればよいか迷われるのではないでしょうか。

今でも私立や公立の中学校・高等学校に入って、大学進学となると東大、京大とか早慶上智とか関関同立を目指すことが一般的なのですが、今後はその選択肢に、ハーバード大学やケンブリッジ大学をめざすならば、中高校はボーディングスクールという選択肢が加わってくることになりますね。

では、なぜ今、東大京大だけではなくて、ハーバード大学やケンブリッジ大学などの世界ランキングでトップに君臨する海外大学を目指すのか、日本の大学への進学を選択した場合との大きな違いをもう少し詳しく教えていただければと思います。

【村上】
そうですね。あまり気にしても仕方ないとは思うのですが、日本の大学の国際順位が落ちているんですね。
国際的な大学のランキングというのがいろんな調査機関から出ているわけですが、東大とか京大とか早稲田とか慶應とか、これまでの常識からすると進学先として人気が高い大学が次から次へと毎年発表があるごとに国際順位を落とすという状況が続いてるんです。

その原因は、決して教育内容とか研究成果が、以前に比べて見劣りしてきてるということではなくて、一番大きな原因は、留学生の数が少ない、あるいは英語での講義がほとんどない、あるいは教員、教授、准教授、講師のほとんどが日本人だという、多様性がないといったことなんですね。そういったことが原因で順位を落としていると言われています。

そうなるとですね、どうしても東京地区で言うと、御三家って相変わらず言うのでしょうか、開成、麻布、筑駒といった名門と言われる進学校だけでなく、いわゆる2番手校って言ったらまた叱られると思いますけども、渋谷教育学園さんとか、広尾学園さんも東大・京大という日本のトップ大学のを目指すのではなく、一気に海外大学を目指し始めた中高一貫校が注目を集めることになるんですね。

海外大学も、いわゆるハーバードでないと駄目、スタンフォードでないと駄目っていうことでもないんですね。我々が知らないだけで、素晴らしいリベラルアーツカレッジがアメリカにはたくさんあります。また素晴らしい教育が、アメリカだけでなくヨーロッパにもあるわけです。

そういったところを目指した方が将来的に、特に21世紀を生き抜いていく力がつくんじゃないかなって考え始めた親御さんたちのご要望を反映した学校への社会的ニーズが高まってきているんですね。 あるいは先生方の教える姿勢というか、生徒諸君の将来を考えると、もう東大・京大・早稲田・慶応じゃないでしょっていう意識も顕在化してきているように思われます。

もちろん先生方は、日本の大学への進学が全然駄目だということは、無責任な意味でおっしゃってはいないわけですけども、それ以外の選択肢も十分あるよと、その選択肢を狭めたくない、選択肢を広げられるような中高一貫の教育をしていきたいという、そういう学校が増えてきてるんじゃないかなと思われます。

【柴山】
英語が喋れないこと。英語を学ぶのではなくて、英語で学ぶということを、小さい頃からやっておかないと、グローバル社会では通用しない。以前、村上さんの講演で、猿の惑星の映画を例示して、英語が通じないとそもそも思考が通じないという話をされていましたね。グローバル社会に出ると、英語っていうのはどうしても大事なのでしょうか。

【村上】
そうですね。先ほどの繰り返しになりますが、80年代から送り込んできてらした親御さんたちは、もうこの苦労をさせたくないんだっていうことだと思います。

【柴山】
そうでしょうね。さて、村上さんの他のご著書で「村上流のシンプル英語勉強法」というのがあるのですが、村上さん自身は31歳でアメリカのコンピュータ会社に入って、英語ができないことで大変苦労をされたとお聞きしています。
その経験から「早い時期から英語で学ぶということが大事だとお考えなのでしょうか。

【村上】
特に私は、一番苦労したのがリスニングですね。リスニングというのは、どこか生物学的な限界というか、動物的な限界があると感じています。日本語というのは母音を中心に喋られていて、一方英語は子音を中心に喋られているんですね。

私は筋トレって呼んでるんですが、耳の鼓膜のところから脳みその方に筋肉じゃないんですけども、できれば生物学的な意味合いで、まだ耳の鼓膜から脳みそへの筋肉が柔らかい若いうちに、筋トレを施しておくということが必要だと考えています。

ある種年齢的な意味合いでの生物的なハンディキャップみたいなものが、年を追うごとに増えてくるっていうところはもう否定できないので、もし機会があるならば、小学校入学前ぐらいのあたりから、そういうチャンスをお子様方に与えていくっていうのは重要なことなのかなと思っております。

【柴山】
今までのお話をお聞きして、将来のグローバル社会に子供たちを送り出すにあたってどんな思考方法が重要かという話をお聞きし、次に選択肢が日本でもかなり増えてきて、海外大学とか、そういう選択肢も増えてきた。そして、早期から英語で学ぶことの重要性をうかがいました。

そこで、未就学児や小学生を持つ親としては、将来を見据えた中で、どのような力を今のうちに付けさせてあげればよいのかというところが、気になります。

具体的には、どのような力を今のうちにつけておけばよいでしょうか? 村上さんも、お子様を海外の大学へ進学させた経験をお持ちですので、親としてどのような点を意識していけばよいと思われますか?

【村上】
アメリカの例を挙げますと、大学のアドミッションオフィスっていうところに、願書を出すということになるのですが、いかに自分がユニークであるかというところ強調したエッセイの提出が求められるわけですよね。
そのユニークというのは、絶対他の人に代えがたいものを持ってるかどうかっていうことですね。先ほどリベラルアーツという言い方をしましたけれども、リベラルアーツカレッジというアメリカのアンダーグラデュエート(4年制)というところは、専門教育というよりも、リベラルアーツなんですね。

リベラルアーツという言葉は古代ギリシャの時代に自由学芸という考え方があって、七つの学問に分かれるんです。三つが言語能力、文法、それから修辞っていうかレトリックという表現力、三つ目が弁証。論理的に言語を操れるかっていうところだと思います。次の二つが算術と、幾何学、つまりマセマティックス。最後に音楽という、ギリシャの古典的な物の考え方ですね。

はるかな昔から、答えのない問いと向き合ったり、新しい問いを見出すための道筋として、人はこれらの学問を志してきたんですね。今の言葉で言うとスSTEAMと呼ばれているサイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、マセマティックスと重なるようなものの考え方だと思います。

つまりは、「自然、社会、あるいは音楽に代表される芸術、そういったことにワクワクしながら向き合ってきた経験を積んできたのかね、君は?」というあたりを、アドミッションオフィスは見るんだろうと思います。その中で何かのユニークさみたいなものを主張、あるいは提示できれば、受け入れよう=アクセプタンスということですね。

2月はちょうどその時期ですよね、来年の9月入学の日本の留学希望の学生さんたちがアプリケーションを出し終えて、今頃ぐらいから届き始めてるっていう時期かなと思います。そこでアドミッションオフィスが見てるのは、この子はそういう幅広い分野の中で、何か特徴をもって一生懸命に頑張ってきたのか、そのユニークネスを打ち出すことが出来ているかだと思います。

【柴山】
なるほど。ユニークさというキーワードが出てきましたね。では、ユニークさをどう作ればよいのかとも思います。そして、リベラルアーツ。海外大学や、その前提となる海外に行くための中高一貫校なんかは結構重視してるんですね。

【村上】
リベラルアーツ、私は天文学を言うの忘れてましたね!(笑)

【柴山】
このリベラルアーツを実践する中で、村上さんのご著書でもう一つキーワードがありますよね。Frame of Reference。この言葉のご説明をお願いいたします。

【村上】
Frame of Referenceとは、自分自身が獲得した知識の体系化のことを意味しています。知識を体系化せずに、散漫にしておくと、それは単なる知識の断片となってしまうのです。 日常の勉強や普段の生活において獲得する知識や経験・情報を、それぞれ関係するもの同士を軽く紐づけるかのように捉えておくという状態をFrame of Referenceと言っています。

イメージするならば、頭の中にインターネットの通信網のようなものが構築されていると考えていただければよいでしょう。

そのためには、いろんな機会を子供たちに与えて、子供たちが何か興味を持ったら、そのことに対してきっかけを与える。あとはもう子供たちが一生懸命読むなり、ネット検索するなり、ググれば出てくるわけです。YouTubeにも素晴らしい教材がありますから。特にGIGAスクール構想で小学校に上がれば、パソコンを全員使うという、そこのレベルに日本も達しましたので、親御さんのパソコンを少し借りて使っていいよ、もしくはアカウント一つ差し上げて、ママのを使っていいよ。ちょっとパパの貸してもらいなさいみたいな、そういうことですね。

子供たちにそう仕向けるためには、まず何でもいいから興味を持つ。「面白い」「不思議だ」「どうしてこうなってんだろう」、そういうものに巡り合うチャンスを増やしてあげるということが、きっかけとしては大事なことなような気がします。

【柴山】
子供が小さいうちに、いろいろな環境を整え、Frame of Referenceを構築していくんですね。

また村上さんのご著書の中で「英語で学ぶ」が重要とおっしゃっていますね。日本語ではなく、英語で学ぶという意味はどういうところあるのでしょうか?

【村上】
正直申し上げます。残念ながら、この惑星の標準語、スタンダードランゲージは、歴史的背景があって、英語になってしまったということです。

そんなの不公平じゃないか、アンフェアじゃないのかと思いますよね。 しかし、そのことも英語で言わなきゃ誰も聞いてくれないという、本当に切ない状況なんです。
抵抗しても仕方がないのかなということですよね。国際会議とか、学問の会議だけじゃなくて政治向きの会議でも、いろんな人たちが議論するのは、公用語としては英語が基本になっている。あるいは休憩時間にさっきの議論について、コーヒーやお茶を片手に雑談するときにも、英語ですね。もう避けて通れないということかなと思います。

Frame of Referenceという意味合いにおいては、最後はピクチャー、つまり絵なんですね。人間が思考してるのは最終的には絵なのですが、それを体系化したり、他者に伝えたりするために言葉を使うので、母語というのを全く否定できないのです。
日本語と、それからご家庭でお話されている言語が母語だということになると思います。

自身が思考している絵に、日本語とそれから、この惑星の公用語である英語の2通の言葉のポストイットが張り付いていってるということを、私はFrame of Referenceというふうに呼んでいるわけであります。

【柴山】
英語は、2台目の自転車ということですね。母語と英語が自転車の両輪で、両方回らないと倒れてしまう。

【村上】
そうですね。日本語が「1台目の自転車」とするならば、英語という名の「2台目の自転車」なのです。グラグラしてもいいからとにかく乗れるようになることを目指すことを提唱しています。

言葉というものは、「社会を走り回るための手段であり、道具」です。日本語では日本の社会を走り回ることはできますが、それでは海外には行けません。英語を2台目の自転車として乗りこなすことができれば、「世界を走り回ることができる」のです。

英語を身につけることは「手段であり道具」ですから、決して「目的」にしないことが大切です。

【柴山】
村上さんのお子様は、米国の学校で育てられたとお聞きしていますが、そのご経験から幼児や小学生の段階で、クオンタム思考やその能力の基礎を身につけるには、どのような学習をすると効果的でしょうか。

【村上】
私の長女が中1の時、日本で中高一貫校に合格して、入学金を払った後に私のアメリカ転勤が決まりました。「入学金を払う前にも言ってよ」っていう感じではあったんですが(笑)。長男は、キンダーガーデン。兄弟2人とも、パブリックスクールシステム、いわゆる公立学校に通っていて、夏にアンドーバーフィリップスアカデミーに、私が勤めてたDECという会社が奨学金を出してくれるというので行かせてもらいました。

2人ともやっぱりそれぞれ違うんですよ。 ボキャブラリーも違いますし、習得していくいろんな意味合いでのプロセスも違います。興味のある場所ももちろん違うわけですので、小学校の頃から組んずほぐれつみたいな友達との付き合いをやった長男、中学校1年でアメリカの友達ができた長女とは、いろんなものの考え方とか、ボキャブラリーも違ってますので一筋縄ではそれぞれいかないところがあると思います。

ですから、お聞きになられてる親御さんも、それぞれお子様の個性が違うように、それぞれの個性を十分尊重してあげて、選択肢を増やしてあげるということが一番重要なことだろうと思います。

【柴山】
村上さんも、親としていろいろお考えになりながら個性に合わせてご苦労されて、子育てをされたんですね。

【村上】
そうです。私はさっき入学金の愚痴を言いましたけど、四谷大塚の予習シリーズを、私が娘に教えましたからね。今から思うとあんなもんやる必要はなかったなっていう(笑)。

それは、中高一貫に合格したけど、行かなかったからということでなく、その後、中1からアメリカに行った長女も、ちゃんとハーバード大学からアクセプトしていただきましたので、そういうフレキシブルなアドミッションオフィスのアクセプタンスの仕組みなんだなっていうことがわかっていれば、あんなものは、叩き込む必要は全くなかったなっていう反省を込めてのコメントです。

【柴山】
村上さんのように転勤というものがあって、強制的に海外の環境とか英語環境になる方はやっぱり勇気が要るじゃないですか。パブリック公教育から外れた選択を子供にさせることが、いいかもしれないけどリスクもあると。

【柴山】
2021年に小学校の学習指導要領が変わり、今年度から中学生、来年から高校生の学習指導が変わるのですが、おそらく見られた方はびっくりされたと思うんです。
今年の高大接続改革が去年から行われて、今年の大学入学共通テストの英語問題もかなり平均点が下がっていて、難しくなっているんですよね。

そういう意味では、これから親として英語をやらせなきゃなっていう風潮は、より大きくなっていくと思うんですよ。今日の話で言うと、ただ英語だけ学んでも駄目だよってところが大きいと思うんですよね。 改めて、英語「を」まなぶのではなく、英語「で」学ぶことの重要性をもう少し、お伝えいただけば嬉しいなと思います。

【村上】
英語で学ぶというのが、今日の中心的なテーマではあるんですけども、それをリベラルアーツなり、あるいは子供の世界に対する向き合い方、自律した子供を愛して人間として育てていく基礎作りが大切です。

わかりにくい表現で申し訳ないのですが、サイエンスをサイエンスで学ぶというか、ヒストリーをヒストリーで学ぶというか、学ぶという意味合いは、何か、出来上がった何かを学ぶんじゃなくて、そのものと格闘しながら、文脈の中で身に付いていく、体験の中で身に付いていく、ですから英語で何かを学ぶという意味と同時に、英語で英語を学ぶことを提唱しています。 そういう機会をいかにしてお子様たちに与えていくか、そういう環境をどう準備するかということになってくるんだろうと思います。

【柴山】
ありがとうございます。村上さんからのアドバイスをいただき、新しい教育に取り組んで参ります。

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